mnre's diary

むぬれと読みます

2022秋アニメ評

明けましておめでとうございます。本年も当ブログをどうぞよろしくお願い致します。

アニメを振り返るまで俺の2022年は終わらねえッ……!!今回もネタバレが多いです。

ぼっち・ざ・ろっく!

bocchi.rocks

今期最大の問題作(悪い意味で)。限界陰キャオタクの後藤ひとりは、ギターが上手かった。ひょんなことから伊地知虹夏にその才能を発見され、山田リョウ、喜多郁代の4人でバンド(後に「結束バンド」と命名)を結成し、ぼっちちゃんは見違えるように陽キャロードを歩み始める。文化祭のライブで終了。

これを書いていて手が震えてしまった。従前のきららアニメは完全に彼女たち独自の世界の中で物語が完結しており、我々はその傍観者でしかなかった。今回はどうか。後藤ひとりという陰キャぼっちオタクは、我々に対して彼女と自らの同一視を狙って生成されたキャラクターだ。そんな彼女が、音楽を媒体とした人とのつながりを通じて、作中で大きく成長してゆく。「青春コンプレックス」を抱える視聴者は置いてけぼりにされ、回が進むに連れて一般人気が高まっていった。前期の虹ヶ咲2期と同じような裏切りの構図だ。作画やストーリー構成など、アニメ作品としてのレベルは非常に高かった。つまり、私の完敗です。

ヤマノススメ Next Summit

yamanosusume-ns.com

ヤマノススメシリーズ4期目。ついにあおいが富士山に登頂。

前半はこれまでの総集編、終盤はせっかくの富士登山なのに尺が足りない印象で、全体的に内容量の満足度が低くなってしまった。オープニングは相変わらず力が入っている。

Do it yourself!!

diy-anime.com

かなり好きな作品。燕三条の女子高にあるDIY部。部員集めに奔走しながら、ものづくりの楽しさに目覚めていく。最後はツリーハウスを完成させて終了。

PINE JAMの素朴な絵柄とストーリーに合った劇伴、そしてDIYというテーマが非常によくマッチしていて、完成度がかなり高い作品になっている。全体を通して優しさとゆるさに溢れていて、今期の癒やし枠だったのは間違いない。各回のタイトルの命名規則も面白い。外国人キャラが二人いたが、どちらも独特の発音が小気味よく感じられ(特にジョブ子)、声優の技術力を感じた。こういうオリジナル作品がもっと増えてほしい。

チェンソーマン

chainsawman.dog

話題作。悪魔と人間が敵対する世界で、チェンソーの悪魔と契約したデンジは公安に所属して悪魔狩りをすることになった。明確な結末は描かれずに終了。

デンジとマキマさん、アキくんと姫野先輩の絡みなど、ムホリティの高い描写が盛りだくさんで、それだけでも見る価値はあるんじゃないか。エログロをある種誠実に描き、人間関係の描写にもかなり力が入っていたこともあって、やはり話題になるアニメは面白いなと素直に思った。EDが毎回変わるのは正直印象に残りづらく、アニメを一話分見終わったという毎回の小さな感慨も得られないのであまり好きではなかった。描写が丁寧だった分展開の速さに欠け、ストーリーで見たら一クールで大した内容をやっていないように見えるが、流石に2期ありますよね?

恋愛フロップス

loveflops.com

ここまで評価が急転直下したアニメも珍しいんじゃなかろうか。前半はこれまでに類を見ないほど勢いのある下ネタアニメで覇権一直線じゃないかと予想していたのだが、実はこの世界は仮想空間で、あなたが毎日を共にしていた美少女たちはAIで、そのAIの元データは数年前に命を落としたあなたの幼馴染で、その子のあなたへの好意がAIをバグらせてしまって、うんぬんかんぬん。最後はAI上でその幼馴染と再開し、主人公は前を向いて生きていこう!ということで終了。と思いきや、最後の最後でAI上の美少女たちが主人公のいる現実世界にやってきて……!?という、起承転結の転も結もひどかったというオチ。コンセプトは良かったし、声優もめちゃくちゃ豪華だったのに、非常にもったいない。下ネタアニメとしても不十分、電脳アニメとしても二番煎じ以下の品質、極めつけの結末の蛇足。最終回を見終わったあと大きなため息をついてしまった。

アキバ冥土戦争

akibamaidwar.com

覇権。P.A.WORKS復権作品。今から20年ほど前の秋葉原では、メイドがヤクザのように徒党を組み、縄張りを争っては死者を出していた。何も知らずにメイドとなったなごみは抗争に戸惑いつつも、自らの信じる「萌え」の尊さを貫き通す。最後はとんとことんにやってきたケダモノランドグループをいなし、トップの凪を部下が射殺して終了。20年後、車いすに乗ったなごみはメイドとして働いていた。

最も素晴らしかった回が10話で、このアニメの良さが全て詰まっている。密かに嵐子に想いを寄せていた常連客の末広は、嵐子をデートに誘う。末広が凪の息のかかった人物であることを知っていた御徒町は嵐子に警告するが、聞く耳を持たない。御徒町はかつて凪の命令で嵐子の勤務先の店長を殺害し、末広によって"後始末"をされかけた過去を持つ。結局御徒町は罪滅ぼしから末広を殺害する。EDの後、Cパートで種明かしがなされる。末広が嵐子を殺そうとしていた描写は叙述トリックで、実際は末広が宝石店で指輪を購入し、凪の命令に従わない旨を伝えるなど、秋葉原の地と決別する意思を固めていたのだった。

メイドのお仕事アニメを見ていたと思ったら、いつの間にか思惑と義理人情が交錯する濃厚な任侠アニメになっていた。もちろん、8話のようにコミカルな回もあり、全体の構成のバランスが非常に良かった。こんなに多くの登場人物が凶弾に倒れ、そして見る者の心を深く揺さぶるアニメが未だかつて存在しただろうか。数年に一度、いや十年に一度レベルのオリジナル作品だと思う。萌えと任侠の掛け算という挑戦的な試みは、大成功を収めたと言っていい。

2022年個人的アニメランキング

  1. アキバ冥土戦争
  2. 可愛いだけじゃない式守さん
  3. よふかしのうた
  4. 明日ちゃんのセーラー服
  5. 継母の連れ子が元カノだった

以上

2022年も良いアニメが多くて良かったです。