mnre's diary

むぬれと読みます

中小企業診断士の口述試験を受けました

あけましておめでとうございます。最近、下手をすると一度も口角をあげないまま一日を過ごしてしまうことがあり、これはまずいと思ってYouTubeでお笑いを見始めたのですが、ブログの冒頭部分で関係ない(そして面白くない)小話をするのって漫才由来なんですかね、とトム・ブラウンの2023年のM-1の敗者復活戦のネタを見ながら思いました。

……ということで、期末レポートが溜まりに溜まっていますが、今日は中小企業診断士口述試験を受けてきた話をしましょう。

二次試験(筆記まで)の話

  • 2021年に友達から診断士の教材をタダで貰う(圧倒的感謝)。一次試験の勉強は薄く広くという感じで、経済学部の授業の内容とも被っていたのでそれなりに面白かった。運営管理なんて普通の大学生は勉強しないんじゃなかろうか。
  • 2022年の一次試験を突破。合格率は3割弱。割とギリギリ。情報で9割取ってたおかげでなんとかなったが、経済学部なのに経済学が6割切ってて恥。
  • 10年分過去問演習したのに二次試験の筆記で落ちる。クレ◯ールはゴミ。
  • 2023年の二次試験は諦めていたのでノー勉で凸った。正確には、就活対策のためにGDしまくり、日経新聞を購読し、東大フェルミや『イシューからはじめよ』を読み、コンサルのインターンでロジ・シン(この略し方キモすぎて初めて聞いた時は鳥肌立った)を学んでいたが、過去問は一つも見なかった。二次対策はこれで良いのでは?と思う。答案に書くべきなのは結局as-isかto-beかボトルネックか打ち手かそこでの注意点のどれか。基本的な考え方だけ身につけておけばあとは現代文。
  • 事例1の最後の問題で、「X社のコネを使って質の良い原材料を仕入れる→観光客に受けそうな地元ならではの食べ歩き用新メニュー開発→ネット上で宣伝、X社の店舗の改装も行って観光客を取り込む」という自称完璧な答案を書けたのがハイライト。後は事例が進むに連れてどんどん出来が悪くなっていったので最後の方は消化試合の気分だった。
  • 当然落ちたと思っていたので合格発表を流し見した結果番号を見つけられず、まあ就活頑張ればいいかと気持ちを切り替える。
  • 翌日簡易書留で口述試験の受験票が届いてびっくり。合格率2割弱。単純計算で母集団の5%くらいという、知名度の割に意外と狭き門。

口述試験対策

ガチ勢は対策セミナー的なものに行っているらしいが、直前に勉強する人を小学生時代から冷笑しているので参加せず。与件分をまとめてちょこっと暗記した。皆スーツで来るらしいというのと、渡部陽一を憑依させてとにかくゆっくり喋れという情報を得た。

口述試験当日

やっぱり皆スーツだった。僕は雨の日に革靴を履きたくないという理由でビジネスカジュアルにした。

みんな、「ビジネスカジュアル」って、知ってるかな?

「ビジネスカジュアル」というのはね、例えば……

「ネクタイを外すと、気持ちがいい」とか……

あるいは、「色付きのシャツを着ると、気持ちがいい」といったことを……

「ビジネスカジュアル」と言うんだ。

30分ぐらい待って面接官二人とご対面。両方とも優しそうな60代のおじさんで、孫を見るような温かい目線を僕に向けてきた。それもそのはず、受験者は大半が40代ぐらいのおじさんで、二次試験を突破する大学生は毎年数%とめちゃめちゃレアキャラなのである。読者の理解を助けるため、参考写真を上げておく。

植田面接官(仮名)のイメージ
西田面接官(仮名)のイメージ

事務的な質問をいくつかされた後、西田氏がまず質問を投げかけてくる。 西田「事例3について、C社は消費期限で食材を管理しているが、どう在庫管理すべきか?」

ぼく「はいわかりました、C社が食材管理をどうすべきかについてお答えします(復唱は時間稼ぎの手口として有用らしい。以下略)。C社は食材の数量管理がなされておらず、そのために食材の廃棄や欠品など様々な問題が生じているため、まずは食材の数量管理を徹底すべきと考えます。そのためには、デジタル技術を用いてどうたらこうたら。」

デジタル技術という安直すぎるソリューションだが、うんうんと頷きながら聞いてくれる。ネット上では面接官が塩対応だという情報が多かったので意外。

西田「次に、C社は新規従業員をタンノーコーカする方針だが、そのメリットは何か?」

ぼく「たんのーこーか??漢字で書くとなんですか??😅」

西田「単能工化😅」

ぼく「わかりました😅単能工化のメリットとしては、教える側にとっては~、教わる側にとっては~(中島を5人集めて中島ックスより100万倍浅い回答)」

ダメ~。

西田「😊(浅すぎてビックリの顔)」この後30秒ぐらい向こうから話してくれた。後から振り返ってみると、おそらく時間を調整してくれていたのだろう。次に植田氏が登場。

植田「事例1について、A社はここ数年なぜ安定した業績を得ているのか?」

ぼく「ここ数年というのは、X社が合併した後ということですか?」

植田は要領を得ない回答。就活でよくあるケース面接とは異なり、この口述試験は基本的に受験者と面接官のインタラクティブなやりとりが基本的に推奨されていない雰囲気だ。試験の公平性を担保する観点からも重要なことである。ケース面接との相違点で言えば、ケース面接はお題がシンプルかつ曖昧なために面接官とのやり取りの中でイシューの質を高めていき、その後じっくりと考えて発表を行う。翻って診断士の口述試験は、与件文と面接官の出す問いが絶対であり、そこに解釈のゆらぎは存在しない。さらに問われたら瞬時に答えを出さなければならない。前者はコミュニケーション能力や論理的思考力(といっても高が知れてるが)が問われているのに対して、後者は与件分の読解力や瞬発力、そして定石の暗記が必要とされるように感じた。求められている能力が根本的に違うのだ。

ぼく「コロナが明け、X社と合併し、ターゲットを絞り込み、……」

植田「X社とのシナジーということですね。それに関連して、A社が今後より発展するにはどうすればいいか?」

ぼく「(筆記の第四問とほぼ同じ回答)」

西田「以上となります。あざした😊」

ぼく「あざした😑」

おわりに

口述試験の通過率はほぼ100%なので、流石に受かったでしょう。実務補習も申し込んでしまったので、落ちたら困るどころの話じゃない。今のところコンサルに就職するつもりはあまりないので、診断士の登録を済ませたら速攻で休止して将来脱サラする時のために備えておこう。次回・実務補習編にご期待ください。

今年を振り返る

今年も色々ありました。

二年付き合った彼女と春に別れた。つまり、めでたくない誕生日を祝ってくれる人間が一人減ってしまった。お互いに未練がある状態で別れざるを得ない状況を作ってしまったことには痛切に責任を感じている。すったもんだの末、結局師走まで付いては離れを繰り返したが、来年からはもうそんなことも無くなるだろう。何が起こるか分からないのが世の常でもあるが。

彼女からは女性と目を合わせる方法 (冗談)から交際相手を怒らせない方法(未だに実践できていない)まで非常に多くのことを教えてもらった。今まで学びを得た人ランキングでは五本の指に入るだろう。その中で特に今身に沁みているのが、人間はそう簡単には変わらないという事実だ。昔を思い出してもそうだし、今の状況もそう。愚かな話である。

周りが着々と恋愛市場における戦闘力を高めているなかで二年間同じ相手にのほほんとしていた人間が、いきなり放り出されて上手くやることなど到底不可能だった。恋愛道がガラパゴス的進化を遂げてしまっていたのだ。今年に入ってから恋愛で経験した失敗は枚挙にいとまがない。傍から見れば中高生レベルのものもあるかもしれない。一つ話そう。

ある時、「雑談とは相手の話を聞くことである」という自己啓発本の主張を真に受けてしまった僕は、聞き上手になろうと一念発起し、交際相手に自己開示をほとんどせず相手から話を聞き出すことに専念しようとした。話を振られても「いや、僕の話なんか面白くないから(笑)」。結果、「そっちから話してもらわないとこっちだって話せないでしょ」「人の話もそうやってつまんないとか判断してるの?」とデート中に詰められた上、素直に謝ればいいものを僕もガキなのでつい色々と反論してしまい、かなり険悪な雰囲気になった(後にあっさり振られた)。クリスマス3週間前、丸の内のイルミネーションを見に行った時の話だ。おかげでクリぼっちの苦汁を舐めさせられた。今でも思い出すだけで苦笑いとため息が漏れる。言い訳はいくらでもできるのだが、ここには書かない。

しかし、それでへこたれないのが僕である。失敗する度に友人やChatGPT、教本からひたすらフィードバックを貰い、失敗の原因を考察し、改善策を練っていった。今回だけでも「つまんなくてもいいから自分の話をする」「怒られたら反論せず謝る」「有事こそスキンシップを」など多数の教訓が抽出できた。他にも、恋愛における各フローごとの対策や課題の三分類など、独自のノウハウを蓄積している。これらをまとめたドキュメントは既に5000字を超える勢いである。「悔しさは俺のパワーの源になるんだ」とは高校同期の言葉だが、まさにその通り、あの時感じた無数の悔しさと無念を晴らすため、一つの失敗も無駄にするまいと日々改善を重ねている。もちろん、一度失敗しただけでその後は完璧に振る舞えるようになるということはない。何度も同じ失敗をしてようやく学習するのが人間というものだ。結局人生は場数。

恋愛そのものというより、恋愛を通じて自分が社会復帰へと漸近していく過程が、めちゃくちゃに面白いPDCAをぶん回し、様々な相手と対峙してゆく。まさにレベル上げの感覚だ。おまけに、上手くいけば彼女までできてしまう。こんなに美味しい話があっていいのか。一方で、動機がそんなに単純な話で片付けられるわけでもないことに気づいてもいる。

未練たらたらなんてハズカシイ!と思っていた時に、『プロフェッショナル 仕事の流儀』の宮崎駿スペシャルを観た。内容は割愛するが、巨匠と言われる宮崎駿が、あそこまで人間臭いの表現者だったとは、と大きな衝撃を受けた。僕は彼のように優れた表現者ではない(どころか、ブログで黒歴史を量産しているただの学生である)が、人間にとって人に抱く感情とはこれほど大きなものになりうるし、尾を引くし、それでも、捕らえ囚われを繰り返しながら、無理矢理にでも前に進んでいくしかないのだという、老翁の力強い生き様に心を動かされたし、ある種の共感すら覚えた。二年付き合ったのなら、整理をつけるのにも二年、あるいはそれ以上かかるかもしれない。「出会っちゃったんだからしょうがないよね」(宮崎)。今はただ、やれることをやるしかないのです。これはその一つ。

部外者からやいのやいの言われるのに疲れてしまい、SNSを使う頻度がだいぶ減った。これでメンタルヘルスが改善したのは思わぬ副産物だった。加えて今まで彼女にかなりのリソースを割いていたこともあり、対人の時間的・精神的資源を友人と就活に振り向ける余裕ができたことで、結果的に今年が有意義なものとなった。旅行には月イチペースで行き、北海道は3回も訪問してしまった。友人と飲みに行くことも増えた。去年までは月一回程度だったのが、今年の後半に入ってから週二ほどになっている。今までだったら考えられなかったことだ。いつもの面子で集まることもあれば、一年半ぶりに会う奴もいた。友達は大事。恋愛で失敗をするということは、それだけ人に話を聞いてもらいたくなるということでもある。様々な知り合いにどしたんを依頼したこともあり、人間関係が謎に広がった(皆さんいつもありがとうございます)。一番奇妙だったのは、どしたんをきっかけにこれまで一度も話したことのなかった高校同期と仲良くなり、5回目の対面で3泊の台湾旅行に出かけたことだろう。

就活は、まあ僕が食いっぱぐれる時は日本の終わりだという精神でまったり続けている。ジムにも通い始めた。最低週一で通うようにしていたら、体重が一年で5キロ増えた。来年は70キロに到達したい。

今年最も印象に残った旅行。新島にて
最近は何を考えているのかというと、実は幸せが何なのかよく分からなくなってしまった。最後に幸せだったのは去年の夏くらいまでだったか。どうしてだろうと考えた時、今の幸せの定義が「完璧であること」になっていることに気づいた。完璧な人生などあり得ないので、定義がこうなっている時点でもう幸せにはなれない。困った話だ。完璧な幸せなど、別に求めていないはずなのに。減点方式の末路。

いつの間にか、幸せがジグソーパズルになってしまった。パズルはおおむね完成している。遠目から見れば完璧で、美しい作品だと自分でも理解している。でも、あと少し足りないいくつかのピースが、汚れがついてしまったピースが、形が合わないのに無理やりはめ込んだピースが、どうしても気になってしまう。足りないピースを血眼になって探しても見つからず、汚れを落とそうと擦りすぎるあまり損じ、正しくはめ直そうとピースを外したまま放置している。そのせいで、周りの作品が余計に美しく見える。目下そのような状況だ。完璧さにこだわるべきか、もう妥協してノリで固めてしまうべきか。あるいは全く別のゲームを始めても良いかもしれない。それにしても、こんなくだらないことでくよくよ悩めるのもあと一年かと思うと、全てが愛おしく思えてもくる。それとも、就職しても意外と人間味あふれる人生を送っているのだろうか。

とまあ、よく考えてみたらそんなに悪くない一年だった。座右の銘の一つに「人間万事塞翁が馬」がある。良くないことがあっても一旦悩み切って、時間が経てばなんかやんやでケロっとして過去を肯定できるのは自分の良いところだ。周りに前向きな人(か、根拠なき自信家)が多いおかげでもあろう。

時はいつの日にも 親切な友達

過ぎてゆくきのうを 物語にかえる


松任谷由実『12月の雨』

来年は、歳のせいか凝り固まりつつある価値観を覆してくれるような、新しい出会いに期待したい。新たな趣味かもしれないし、芸術作品かもしれないし、旅先の風景かもしれないし、恋人かもしれない。来る者拒まず去る者追わず。自分からも動きながら、ともかく楽しもう。

今年も当ブログをご愛読いただきありがとうございました。良いお年をお迎えください。

めでたくない誕生日

もう二十代に突入してしまった。個人的には、二十歳を過ぎたら誕生日などめでたくもなんともない。肉体には衰えが見え始め、精神には凝りが生じてくる。若さは逓減する一方で、この貴重な資源をこれからどう活かすかに神経を尖らせなければならない。この世に生を受けた喜びと、あの世から成績が送られてくる恐怖が釣り合う頃合いと言ったら気が早いだろうか。そもそも、なぜデスゲームの正反対のような平和なこの世の中で、他人が一年間生き延びたことを祝わなければいけないのか。もしこの世に生を受けたことを一緒になって喜んでいるのだったら、とんでもない共感能力の持ち主か、他人の人生に対して過干渉な世話焼きである。多くの人は深く考えず、一年に一度風船が飛び、あるいは風船が膨らまされ、人々が自分の存在を肯定し、言うことを聞いてくれるラッキーな日だとばかり思っているのだろう。クリスマスやバレンタインデーの個人普及版といったところか。

こう言うと我が世の春を謳歌している皆さんから大顰蹙を買うので、普段は自分の中に押し殺し、自分の誕生日をSNSに公開しないというささやかな抵抗を続けている。おかげさまで直近の誕生日を祝ってくれたのは、親族、当時の交際相手、それに日本赤十字社だけだった。二十歳の時には加えて日本年金機構からもお祝いを頂いた。大人としての自覚を促してくれて、実にありがたい話である。もっとも、保険料は親に払ってもらっているが。

互酬性規範の観点からして、彼らが正しいのは確かだ。自分が祝われるために他人を祝う。私は自分が祝われる必要性を感じないので、他人を祝わない。誕生日をアピールしてきた友人には一応にこやかにおめでとうと言っているが、その言葉には空気の振動を伝える以上の役割を持たせていない。

私は反出生主義者ではないし、子供が産まれることは無条件に喜ばしいことだとも思うが、なぜいい年した大人が、自分が産まれたことを何十回も擦っているのか、実のところよく分かっていない。なんとも寛容で奇妙な社会だ。僕が東大に受かった3月10日も毎年のように祝ってほしいところである。

クズの本懐

最終巻を読み終わったので取り急ぎ感想をメモしておきます。ノイタミナ枠でのアニメ化から早六年ということで、当時中学生の私には分からなかった登場人物の細々とした心情や行動に共感したり反発したりと、自らの成長も思いがけず感じてしまいました。ちなみに全巻友達から貰ったものなので、快く譲ってくれたH君にこの場を借りて感謝します。

前半の片思いするメンヘラたちの描写は実に見事。花火や麦はもちろん、特に秀逸なのがえっちゃん。これはヤンデレといったほうが適切だろうが、同性愛者という属性を作者が上手く活用して、相手からの無意識的・意識的な拒絶、社会からの隔絶と無理解をスパイスにえっちゃんの狂気性をより一層際立たせることに成功している。最後まで全く報われることはなかったことまで含めて、このキャラが一番好き。

また、麦と花火の非対称性に注目したい。例えば麦は女性経験豊富で茜先生ともセックスをしているが、花火は作中を通して貞節を守っている。あるいは片思われ相手からの好意の受け止め方。作中では二人の共通点の描写が多かったが、実はそこまで似た者同士というわけでもなさそうだ。最終巻で二人が決別するシーンの心内語の微妙な違いにも現れている。もちろん、そもそも性別が違うということも大いに関係あるだろうが、その違いがこの作品を面白くしている。

恋敗れたえっちゃんとモカのサブヒロイン二人組の成長も良い。今作で最も成長したのがモカだろう。セックスを拒絶されたことで、長年引きずった麦への好意が、いつの間にか被征服(による麦との対等な関係の構築)欲と埋没費用への執着とに分解されていたことに気づく。最終巻では文化祭のステージでウエディングドレスに身を包むモカの描写がなされている。麦のためにと自己研鑽を積んできた結果着実に容姿と自己肯定感を洗練させた彼女こそ、登場人物の中で一番未来が明るいと私は確信している。ついで、えっちゃんは本当に健気だ。花火から同性の友達としても身体を慰める相手としても体よく利用され、最終的には友達に戻ることを提案されている。一番報われていない。ただ、前半でかなりのヤンデレ要素があった分最終巻でのあっさりとした立ち直りには少々困惑した。

茜先生も同様で、7巻かけてヒール的「茜理論」を構築してきたと思いきや、最終巻であの変わりようである。鐘井先生が余程のテクニシャンか素晴らしいブツをお持ちだったとしか考えられない。メイン4人の内部的変化に対する動機や説明づけが全体的に甘く、そこが結末への納得感がいまいち得られない理由になっていると思う。しかし、ハッピーエンドとしては微妙だが、バッドエンドとして捉えれば素晴らしい終わり方ではないだろうか。今後幸せになりそうなのがモカしかいないのだから。

僕的睡眠術

思春期を迎えてから異常に寝付きが悪くなり、今では月の半分は寝ようと思って布団に入っても全く寝落ちできず、しっかりとした眠気が訪れるまで人生で最も無駄な時間を過ごす羽目になっている。10年近くに渡る不眠との戦いは、戦果を上げたものもある一方で、いまいち効果を感じられなかったものもある。今回は備忘録として(そして眠気が訪れるまでの暇つぶしとして)それらを整理してみる。

環境編

12時消灯

12時になったらシーリングライトを消して、デスクライトだけをつける。眠気に直結するわけではないけれど、気持ち的に夜を迎えたという実感が湧く。これは割と長いこと続けている。

就寝用スマホ

メルカリで3000円ぐらいで買ったiPhone 5sを睡眠仕様にして(壁紙は黒く、アプリは音楽など必要最小限、など)、1時辺りを過ぎたら触れるのはそのスマホだけという縛りをかける。このスマホでラジオや音楽を聴いている。メインのスマホタブレットを触っているとどうしても精神が高ぶってしまうから、これは効果あるのかも。この取り組み自体は最近始めた。

待ち受け

カーテン自動開閉装置

mornin' plusというもの。カーテンレールに取り付けるとカーテンをその子が頑張って開け閉めしてくれる。もちろんタイマーもセット可能なので、例えば僕は毎日12時にカーテンを開けてもらうようにしている。最近は光に慣れ始めてカーテンが開いただけでは起きなくなってしまった。冬で窓から差し込む光が弱いというのもあると思う。夏は本領を発揮してくれるだろうか。

聴覚編

日本語ラジオ

中高生の頃にハマっていた。NACK5のラジオのアナ、NHKラジオ第一ラジオ深夜便がお気に入りだった。半年ROMれとはよく言うが、ラジオも半年同じ番組を聞き続けていると内輪のノリが理解できるようになる。ラジアナは曜日ごとにパーソナリティが変わり、全員が売れない芸人さんなので、話が面白くて各人のキャラに親しみが持てたし、地方ラジオの深夜帯なのでアングラな話題や下ネタも飛びあうのが新鮮だった。ラジオ深夜便はしっとりとした気分に合う。世界各地のレポーターと生電話で話を聞く、文化人の対談、古今の音楽シーンの解説、寄席などなど、NHKらしい硬派な内容ではあったが、その一つ一つが丁寧に作られており、長寿番組なのもうなずける品質の高さが印象に残っている。眠気に直結するわけではない。

英語ラジオ

TuneInでBBC World Serviceを流す。半分ほどしか聞き取れないので、難しい授業を聞いているような感覚に陥って寝落ちすることもしばしば。

鉄壁CD

大穴。受験期にベッドで横になりながら聞いて寝落ちしていたので、睡眠用ヒーリングサウンドとして売り出せばもっと売れるんじゃなかろうか。

ASMR

www.youtube.com

YouTubeでは、オトニシズムというチャンネルの音声をよく聞く。自然音からヒーリングミュージックまで様々な種類の音源が取り揃えられているが、ほかのチャンネルに比べて圧倒的に音質が良く、作者のこだわりが感じられる。気分によって色んな音源を試すのがささやかな楽しみ。刺さる音源は結構よく寝落ちできる。

Rain Sounds HQ: sleep aid

Rain Sounds HQ: sleep aid

  • Phase4 Mobile
  • Medical
  • Free
apps.apple.com

また、雨音に特化したアプリでおすすめなのがこれ。雨音だけで50種類以上はあるので、お気に入りの音源を必ず見つけることができる。個人的なお気に入りは"Raining in England"。雨音が脳味噌にぶっささってすぐ寝落ちできる。ただ100%効く訳ではないので、コンディションによりそう。

瞑想

meditofoundation.org

瞑想といってもそんなに大げさなものではなく、座禅を組んで目をつぶって呼吸に集中し、思考を無にするというだけである。しかしこれがなかなか難しい。どこか寝落ちに通じるものがある気がする。必ずしも寝つきが良くなるわけではないが、いい暇つぶしになるし、精神のリフレッシュにもなるので最近再開した。瞑想アプリは有料のものがほとんどだが、meditoというアプリは無料で広告もつかない。運営には本当に頭が上がらない。英語にのみ対応しているが、わかりやすい発音で初歩から瞑想の仕方を教えてくれる。まずは30 days challengeから始めてみては。

視覚編

読書

高校に登校する時に道で配っていた聖書をたまたま受け取っていて、それをちびちび読み進めている。かっこいいセリフが出てくると興奮する。「あなたがたの間で偉くなりたいと思うものは、皆に仕える者になりなさい。あなたがたの間で先頭に立ちたいと思うものは、皆のしもべになりなさい」(マルコによる福音書 10:43-44)

ホットアイマス

一時期ネットで流行ってた気がする。これもあまり効果は無かった。

ツイッター

そんな睡眠法は無い。

精神編

ネット上の各種睡眠法

アリス式、米軍式、シャッフル、メトロノームなど様々試したが、効果を実感できるものはなかった。そのたびに得られる絶望と、社会からの疎外感。

寝る時以外は布団の上で横にならない

布団で横になったら寝るんだという潜在意識を頑張って植え付けようとしている。

飲食編

養命酒

中年向けの健康食品というイメージが強いが、飲んでみると体がポカポカして特に冬には効果がありそう。最近は禁酒中(大嘘)なので飲んでいない。また飲んでみようかな。

グリシン

ゼラチンに多く含まれているらしい。その粉末が売られていて、飲むと睡眠の質が向上するらしい。尤も、商品のパッケージ自体には「すっきりとした毎日に」とか「さわやかな毎日をサポート」としか書かれていない。薬事法が憎い。少なくとも、入眠作用はなかった。

漢方

これも気休め程度だった。受験期にあまりの不眠で追い詰められて近所のドラッグストアでドリエルと共に購入した。察するものがあったのだろうか、薬剤師の優しそうなおっちゃんが「併用はしないでね」とレジで控えめに声をかけてくれ、その温かさが今でも記憶に残っている。

最終手段

デエビゴ

貰いものを少し使ったことがある(よくない)。普段感じている眠気とは異なる感覚の眠気が到来するような。依存性もありそうなのでそれ以来使用していない。人間本当にやばくなったら流石に寝落ちするだろうという精神のもと、今後も睡眠薬不使用の方針を堅持するつもりである。

ドリエル

幸か不幸か一度も使ったことはない。今も大事にしまってある。商品のアイデア自体は天才的で、思いついた人は快哉を叫んだに違いない。

おわりに

色々やっても結局睡眠不足ほど眠気を促進するものはない、というのがこの10年で得た結論である。ロングスリーパーで不眠って本当にいいことがない。何か他に良い取り組みがあったら教えてください。それでは、おやすみなさい。

2022秋アニメ評

明けましておめでとうございます。本年も当ブログをどうぞよろしくお願い致します。

アニメを振り返るまで俺の2022年は終わらねえッ……!!今回もネタバレが多いです。

ぼっち・ざ・ろっく!

bocchi.rocks

今期最大の問題作(悪い意味で)。限界陰キャオタクの後藤ひとりは、ギターが上手かった。ひょんなことから伊地知虹夏にその才能を発見され、山田リョウ、喜多郁代の4人でバンド(後に「結束バンド」と命名)を結成し、ぼっちちゃんは見違えるように陽キャロードを歩み始める。文化祭のライブで終了。

これを書いていて手が震えてしまった。従前のきららアニメは完全に彼女たち独自の世界の中で物語が完結しており、我々はその傍観者でしかなかった。今回はどうか。後藤ひとりという陰キャぼっちオタクは、我々に対して彼女と自らの同一視を狙って生成されたキャラクターだ。そんな彼女が、音楽を媒体とした人とのつながりを通じて、作中で大きく成長してゆく。「青春コンプレックス」を抱える視聴者は置いてけぼりにされ、回が進むに連れて一般人気が高まっていった。前期の虹ヶ咲2期と同じような裏切りの構図だ。作画やストーリー構成など、アニメ作品としてのレベルは非常に高かった。つまり、私の完敗です。

ヤマノススメ Next Summit

yamanosusume-ns.com

ヤマノススメシリーズ4期目。ついにあおいが富士山に登頂。

前半はこれまでの総集編、終盤はせっかくの富士登山なのに尺が足りない印象で、全体的に内容量の満足度が低くなってしまった。オープニングは相変わらず力が入っている。

Do it yourself!!

diy-anime.com

かなり好きな作品。燕三条の女子高にあるDIY部。部員集めに奔走しながら、ものづくりの楽しさに目覚めていく。最後はツリーハウスを完成させて終了。

PINE JAMの素朴な絵柄とストーリーに合った劇伴、そしてDIYというテーマが非常によくマッチしていて、完成度がかなり高い作品になっている。全体を通して優しさとゆるさに溢れていて、今期の癒やし枠だったのは間違いない。各回のタイトルの命名規則も面白い。外国人キャラが二人いたが、どちらも独特の発音が小気味よく感じられ(特にジョブ子)、声優の技術力を感じた。こういうオリジナル作品がもっと増えてほしい。

チェンソーマン

chainsawman.dog

話題作。悪魔と人間が敵対する世界で、チェンソーの悪魔と契約したデンジは公安に所属して悪魔狩りをすることになった。明確な結末は描かれずに終了。

デンジとマキマさん、アキくんと姫野先輩の絡みなど、ムホリティの高い描写が盛りだくさんで、それだけでも見る価値はあるんじゃないか。エログロをある種誠実に描き、人間関係の描写にもかなり力が入っていたこともあって、やはり話題になるアニメは面白いなと素直に思った。EDが毎回変わるのは正直印象に残りづらく、アニメを一話分見終わったという毎回の小さな感慨も得られないのであまり好きではなかった。描写が丁寧だった分展開の速さに欠け、ストーリーで見たら一クールで大した内容をやっていないように見えるが、流石に2期ありますよね?

恋愛フロップス

loveflops.com

ここまで評価が急転直下したアニメも珍しいんじゃなかろうか。前半はこれまでに類を見ないほど勢いのある下ネタアニメで覇権一直線じゃないかと予想していたのだが、実はこの世界は仮想空間で、あなたが毎日を共にしていた美少女たちはAIで、そのAIの元データは数年前に命を落としたあなたの幼馴染で、その子のあなたへの好意がAIをバグらせてしまって、うんぬんかんぬん。最後はAI上でその幼馴染と再開し、主人公は前を向いて生きていこう!ということで終了。と思いきや、最後の最後でAI上の美少女たちが主人公のいる現実世界にやってきて……!?という、起承転結の転も結もひどかったというオチ。コンセプトは良かったし、声優もめちゃくちゃ豪華だったのに、非常にもったいない。下ネタアニメとしても不十分、電脳アニメとしても二番煎じ以下の品質、極めつけの結末の蛇足。最終回を見終わったあと大きなため息をついてしまった。

アキバ冥土戦争

akibamaidwar.com

覇権。P.A.WORKS復権作品。今から20年ほど前の秋葉原では、メイドがヤクザのように徒党を組み、縄張りを争っては死者を出していた。何も知らずにメイドとなったなごみは抗争に戸惑いつつも、自らの信じる「萌え」の尊さを貫き通す。最後はとんとことんにやってきたケダモノランドグループをいなし、トップの凪を部下が射殺して終了。20年後、車いすに乗ったなごみはメイドとして働いていた。

最も素晴らしかった回が10話で、このアニメの良さが全て詰まっている。密かに嵐子に想いを寄せていた常連客の末広は、嵐子をデートに誘う。末広が凪の息のかかった人物であることを知っていた御徒町は嵐子に警告するが、聞く耳を持たない。御徒町はかつて凪の命令で嵐子の勤務先の店長を殺害し、末広によって"後始末"をされかけた過去を持つ。結局御徒町は罪滅ぼしから末広を殺害する。EDの後、Cパートで種明かしがなされる。末広が嵐子を殺そうとしていた描写は叙述トリックで、実際は末広が宝石店で指輪を購入し、凪の命令に従わない旨を伝えるなど、秋葉原の地と決別する意思を固めていたのだった。

メイドのお仕事アニメを見ていたと思ったら、いつの間にか思惑と義理人情が交錯する濃厚な任侠アニメになっていた。もちろん、8話のようにコミカルな回もあり、全体の構成のバランスが非常に良かった。こんなに多くの登場人物が凶弾に倒れ、そして見る者の心を深く揺さぶるアニメが未だかつて存在しただろうか。数年に一度、いや十年に一度レベルのオリジナル作品だと思う。萌えと任侠の掛け算という挑戦的な試みは、大成功を収めたと言っていい。

2022年個人的アニメランキング

  1. アキバ冥土戦争
  2. 可愛いだけじゃない式守さん
  3. よふかしのうた
  4. 明日ちゃんのセーラー服
  5. 継母の連れ子が元カノだった

以上

2022年も良いアニメが多くて良かったです。

2022夏アニメ

!多くのネタバレがあります!

ラブライブスーパースター 2期

www.lovelive-anime.jp 今までのラブライブシリーズでも最高の作品と言っても過言ではない。

ラブライブの全国大会で優勝し、かのんの留学が立ち消えになって終了。

序盤は新キャラのわざとらしい個性が鼻について視聴を断念しかけたが、その後は一年生も角が取れて丸くなり、二年生も後輩を迎えて大人っぽくなり、ここでついにラブライブシリーズの底力が発揮され始めた。当作品を語る上で外せないのがやはり可可とすみれ、かのんと千砂都、メイと四季の友情だろう。この二人組は、どうしようもなくお互いのことが好きなのだ。

9話では、ラブライブの予選に敗退すれば上海に連れ戻されるかもしれない可可を引き留めるために、ヒール役を買って2年生だけで出場するべきだとするすみれと、その思いに気づかず1年生も含めて出場するべきだとする可可の間で対立が発生した。言い争いの中で、二人は結局お互いが大好きなのだということにようやく気づいた。ラブライブシリーズ屈指の名場面。

百合という言葉を使うかどうかは流儀によるだろうが、女性同士の友情という観点では最高の出来に違いない。それはもうリコリコを超えていると個人的には思う。 最終話の終わり方にはびっくりしてしまったが、直後に3期の制作が発表されたので一安心。ますます進化するラブライブスーパースターから目が離せない。

てっぺん!

teppen-anime.com タカコ荘で共同生活を送る女子高生お笑いユニット達のコント多めな日常。雰囲気的にたぶんヤングワイワイが優勝して終了?

回ごとに各ユニットをピックアップするという虹ヶ咲的構成で、回を重ねるごとに彼女たちの人となりを深く知ることができた。

お笑いアニメということでコント要素が多かった。つまらないものも多少はあったが全体的には結構面白かった。

地方出身のユニットは皆方言話者なのが実験的で面白かったし、キャラを立たせるための個性も嫌味ったらしくなかった。

オープニングでコロコロ変わる絵は見てて飽きない。

リコリス・リコイル

lycoris-recoil.com 世間的覇権アニメ。好きだけど大好きでない。秘密裏に武力を行使して日本の治安を守る女子高生のリコリス。最後は延空木で真島を捕らえきれず、千束は心臓を移植されて生き延び、ハワイでハッピーエンド。

前半はかなり良かった。3話の「私は君と会えて嬉しい!嬉しい嬉しい!!」という千束の台詞は、千束のたきなに対する絶対的な愛を示し、今後の緊密な関係とたきなの変化を予感させる最高の演出だった。

しかし物語が進むに連れて、シナリオや設定の甘さが目に入るようになってきた。特に12話では有名な心臓が逃げるシーンがあったが、血相を変えて吉松の命を狙い、千束の余命を実感して涙した直後に平静に戻って任務を遂行するという、たきなの有り得ない心情変化にどうしても不満が残った。終盤において千束の寿命は重要なキーとなっていたが、それとたきなが覚醒する鬱展開をこのような形で浪費してしまったのは受け入れがたい。

作画もキャラデザも良かったので、そこさえ目をつぶれば覇権を取るのも納得できる。

継母の連れ子が元カノだった

tsurekano-anime.com 最高。2010年代前半のB級ラブコメアニメの再来。レトロ的な味わい深さ。

中学時代にカップルだった伊理戸水斗と綾井結女が、親の再婚で義理のきょうだいに。夏祭りで二人きりになりキスして終了。

まず設定の馬鹿さ(褒め言葉)が良いし、キャラデザもたかやKiさんなのでツボを押さえている。キャラもクール系男の子とその子が大好きな女の子、さらに途中で刺客が現れるというまさに王道中の王道だ。

9話は全体が中学時代の回想だったが、個人的な経験と照らし合わせるに、一般メンヘラ女子の描写の解像度がめちゃくちゃ高い。リアルと創作の良さを兼ね備えたアニメ、世間はこれを求めている。

最終話では、いつまでも”綾井”への思いを捨てようとしない水斗に”伊理戸”結女が接吻し、挑戦状を叩きつけることでケジメをつけたと彼女は述べているが、結末を有耶無耶にしがちなこの種のアニメでこのような”ケジメ”をつけたのは高く評価できる。

このような古風なアニメを今後も視聴できればこれ以上幸せなことはない。

よふかしのうた

yofukashi-no-uta.com コトヤマ先生が原作なので期待は高かったが、その予想は見事に的中した。

日常に疲れて不登校となった中学生・夜守コウが深夜徘徊中に吸血鬼・七草ナズナと出会う。最後は紆余曲折ありながらもコウくんが吸血鬼になりたいという願望を確かなものにし、二人は幸せなキスをして終了。

中盤までの日常パートはコウくんの深夜徘徊とそこで起きるドラマが巧みにに描かれており、今まで忘れ去っていた思春期の冒険心や恋心を思い出させてくれ、完成度の高い思春期アニメだと感じた。最終盤は打って変わって吸血鬼と人間の対立といったシリアスなお話となり、緊張感を発生させてマンネリを防止しメリハリをつけるともに、思春期特有の”逆境”の登場とそれに対する反逆を描くことで、吸血鬼アニメなのにどこか現実味がある、懐かしいような気持ちを抱いた。

色々な描写がいちいちエッチなのも良い。

ノイタミナブランドの高クオリティな作品。

邪神ちゃんドロップキックX

jashinchan.com 邪神ちゃん3期目。相変わらずのパロディとギャグの多さで毎回笑ってた。ギャグアニメのおすすめを聞かれたら結構上位に入るアニメ。4期目は無さそうだから寂しいな。

家庭教師バイトは年収48万超えたら確定申告が必要・所得税がかかる→抜け道があります

この記事によって発生した損害について筆者は一切の責任を負いません。また、万一記事内に誤りなどがございましたら是非ご一報ください。

春から大学生になり、家庭教師のバイトを始める方も多いと思いますが、家庭教師は多くの場合センターと業務委託契約というものを結びます。センターから直接雇用されるわけではないのです。すると、いわゆる103万円の壁というものが48万円の壁になってしまう、という噂があります。これは一体どういうことなのでしょうか。

そもそも103万円の壁とは、ある人が会社などから雇用されたときに、1月1日~12月31日までの給料が103万円以下なら所得税がかからない、というものです。この103万円の内訳は、万人に適用される基礎控除48万円と、給与所得控除(会社勤めする人にも必要だと考えられる経費分)55万円の合計です。この55万円というのがポイントになります。

業務委託契約というものは雇用契約ではありませんから、この55万円分の控除は受けられません。したがって、年間の所得が48万円を超えたら所得税の課税対象になってしまうのです。家庭教師バイトは時給も高く、普通に働いていればすぐに48万円は稼げてしまいそうですし、48万円を超えたとすれば業務委託契約なので確定申告も自分で行わなくてはなりません。しかし、家庭教師で48万の壁だとか確定申告という言葉を聞いたことがありますか?実は、この48万円を超えても所得税がかからないある特例が存在するのです。

それが家内労働者等の必要経費の特例です。

www.nta.go.jp

この国税庁のサイトには、

事業所得(筆者注:家庭教師として受け取る報酬の区分)または雑所得の金額は、総収入金額から実際にかかった必要経費を差し引いて計算することになっています。しかし、家内労働者等の場合には、必要経費として55万円まで(令和元年分以前は65万円。以下同じです。)認められる特例があります。(注)家内労働者等とは、家内労働法に規定する家内労働者や、外交員、集金人、電力量計の検針人のほか、特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人をいいます。

とあります。

これはどういうことかというと、家庭教師というのは「特定の者に対して継続的に人的役務の提供を行うことを業務とする人」なので(最寄りの税務署の判断次第ですので必ず自身でご確認ください)、必要経費が最大55万円まで認められるということです。これによってどのような良いことがあるかというと、事業所得というのは総収入-経費で算出されるので、仮に家庭教師で年間103万円稼いだ時に、事業所得は103万-55万円=48万円になります。基礎控除は48万円までありますから、これで所得税の課税対象にはならないということになります。

www.nta.go.jp

さらに、大学生の皆さんのほとんどは親御さんの扶養に入っていると思いますが、この特例によって扶養から抜けさせられることもなくなります。

www.nta.go.jp

所得税上の扶養親族の条件に、『(3)年間の合計所得金額が48万円以下(令和元年分以前は38万円以下)であること。』というものがあります。この合計所得金額とは事業所得含め様々な所得の合計ですが、先程述べたように事業所得は総収入-経費で算出されますから、こちらでも48万+55万=103万までに年収を収めていれば親の扶養に入ったままでいられるということになります。これによって親御さんも被扶養者を失うことによる控除の減少を避けられます。親御さんの年収次第では数十万円の増税ということもあり得ますから、これは嬉しいですね。

また、社会保険上の扶養については別問題ですが、こちらは月給でだいたい10万円を超えなければ大丈夫です。制限が年収ではないので、ひと月に稼ぎすぎないよう注意してください。住民税についてはお住まいの自治体に確認してください。

恐らく大学生で家庭教師の仕事をしている多くの人は何も考えずに103万円だけを意識して働いていると思いますが、このように大変面倒くさい仕組みによって結果的にその思い込みが正しいことになっているだけなのです。私も今回この件について調べてみてとても怖くなり、いつ税務署の人が家に来ても胸を張って身の潔白を証明できるような人生を送ろうと思いました。


ってなればいいな

陰キャ論

 この記事は青年期の思索の試みの一つであり、多くの誤りや反論が存在しうるだろうが、それら忌憚のない意見を私にお聞かせ頂くと同時に、暖かく見守って下さるよう読者諸兄にお願い申し上げる。

 古来の陰陽道によれば、万物は陰と陽の二種類の属性のうちどちらか片方に分類することができる。また、陰は悪、陽は善を必ずしも意味しない。各要素は対になっていて(光と闇、水と火など)、両方が存在することで初めて世界の調和は保たれる。

 現代における陰キャ陽キャという言葉はこの概念をある程度引き継いでいるもののように見受けられる。

 私の主張はこうだ。まず、世の中の人間はほとんどの場合「陰キャ」と「陽キャ」の二種類のうちどちらか一方に分類することができる。この二つの違いは、容姿、立ち居振る舞い、雰囲気、性格、言動、運動神経、コミュニケーション能力などの観点から周囲の人間および自分自身によって総合的に評価される。これらの特徴は先天的なものもあれば、後天的なものもある。自らの努力で向上させることができるものもあれば、そうでないものもある。

 陰陽道との大きな違いは、陰キャは悪とされ、陽キャは善とされていることである。上述の通り、陰キャ陽キャの違いは人間生活の根幹にかかわる特性が左右するから、有利な特性を持つ陽キャが高く評価されるのは論を俟たない。これは「垢抜ける」ことが良いこととされていることからも分かる。ある程度の素質を持った人間が可能な範囲で努力を重ね、容姿を磨き、内面を変えようと努力する。陰キャから陽キャへの道を歩む。これは大変喜ばしいことである。この陰キャから陽キャへの移行というのは本人の意向、本人の努力、周囲の承認の三つの要素がすべて揃わなければ達成することはできない。

 さて、運良く「垢抜け」に成功すれば輝かしい未来が待ち受けているが、そうでない者たちの人生は厳しいものとなる。陰キャとしての自分自身を肯定し受け入れなければならないのだ。

 先程も述べたように、遺伝や環境で決定されてしまい、自分の力だけではどうにもならない要素というのは残念ながら存在する。例えば容姿は、いくら美容やメイクに気を遣おうとも、元のパーツが劣っていれば限界がある。コミュ障や根暗な性格をいくら直そうと努力しても実を結ばなかったということもあるだろう。この時、元から恵まれていた天然の陽キャはそもそもこのカーストの存在を認知できず、成り上がりの陽キャは努力が足りないと断罪するのみなのである。なんと残酷なことか!こうした格差は決して是正されることはない。富の再分配を行ってくれる中央政府など存在しない。 仮に自分自身が陰キャであることを誇りに思っているとしても、周囲から見ればそんなことは関係なく、努力を放棄した哀れな下層民としか映らない。しかし、これが陰キャ生存戦略なのである。  余談だが、垢抜けてコンプレックスを克服し陽キャとなった人ほど他者(主に陰キャ)へ攻撃的となるのは、こうした苛立ちが背景にあるのかもしれない。

 陽キャとは、勝者である(このことは、陰キャが敗者であることを必ずしも意味しない)。

 陰キャとは、これまで述べてきたような厳然と存在する解消不可能な格差をいち早く悟り、主に属するコミュニティ内でリソースを無駄遣いせず快適に生活することに生活の主眼を置いた者たちである。

 ところが、驚くべきことに、私が大学に入学してから関わった人達は口を揃えてこの二項対立を否定するのである。(続く)

遠鉄浜岡自動車学校に通う皆さんにおすすめしたいごはん屋さん

春休みに静岡県御前崎という所にある遠鉄浜岡自動車学校に合宿で通っていました。校舎はとても綺麗でスタッフの方々も優しく周りは自然豊かでいい学校だと断言することはできるのですが、合宿で通うとなると昼食という問題が発生します。昼食は基本的にコンビニからまとめて購入される菓子パンやらサンドイッチやらで、毎日食べるとなると少々飽きが来ます。周辺の散策も兼ねて飲食店巡りはどうでしょう、ということでいくつか紹介したいと思います。

ガンジス川

ごく普通のインネパ料理店。ランチは890円からで、この辺りの相場を考えるとコスパは良い。チキンカレーは日本全国どこに行っても同じ味がするが、ネパール人の間にマニュアルのようなものが存在しているのだろうか。野菜カレーはちょっと違った味で、チキンのよりもあっさりしていて食べやすい。ナンお替りし放題なので、安くお腹を満たしたい時におすすめ。

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ふつうのチキンカレー

喰来坊

昼はカレーとラーメン、夜は居酒屋のお店。靴を脱いで上がると確かに居酒屋っぽい。砂丘カレーを食べた。キーマカレーと液状のカレーの組み合わせで、別々に食べるとあまり美味しくないのだが、混ぜて食べると「ああ、そういうことか」と納得していただけると思う。

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夜の砂丘は星がとても綺麗です

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ハチロクハイフン。閑静な住宅街にあるこれまた個人経営の洋食屋。ここも靴を脱いで上がる。ランチは1000~1500円程度。今回はオムライスを選択した。サービスで紫いものポタージュをつけてくれ、甘さ控えめでしっかりと芋の香りがするものでとても美味しかった。オムライスは飯盒のようなものに入っていて、絶妙な焼き加減でとろとろの卵とチキンライスを掬って食べた。これも非常に美味しかった。ワンオペらしく提供時間は遅かったが、それを勘案しても満足度は高かった。

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この辺りにはこういう内装や調度品に気を遣ったお店が多く訪れる楽しみがある

たこまん

和洋菓子のお店で店内飲食もできる。しかしフリードリンクはコーヒーしかなく、紅茶派の僕は泣く泣くコーヒーを啜るという屈辱を味わった。おすすめは大砂丘(ラムレーズン)。

メリケン

教習所の南の方にある洋菓子屋さん。土日ということもあってか店内はかなり賑わっていた。ガトーショコラは丁度よい濃さと柔らかさで、ガトーショコラ好きの僕は思わず唸ってしまった。

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教習の合間に食べるとハッピー

パステ

イオンタウンの中にあるファミレス。全体的に料理のレベルが低く大して値段も安くないので、おすすめできない。

肉料理のお店。店内は高級感があるが、ランチは1000円台後半で食べられる。やはり値が張るだけあってどの料理も美味しかった。サラダはお酢が効いたドレッシングでさっぱりしていたし、食後のくるみのタルトのクッキー生地の小麦粉の香りは最高だった。あ

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ランチプレート。結構ボリュームがある

茶と食 時どき茶

お茶屋さんが経営しているお店。店の中に入るとまずネクタイとベストのお兄さんが目の前でお茶を淹れてくれる。その場でメニューを決めて席へ向かう。鮭茶漬けを頂いたがやはりお茶屋さんだけあって白米と鮭の味を邪魔しない絶妙なお茶の濃さで美味しかった。もちろん抹茶ジェラートも美味。外食では貴重なあっさり系のお店。

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ホテルでも脂っこい食事ばかりだったので唯一の救いだった

五味八珍

国道沿いの中華ファミレス。浜松餃子やラーメンが食べられる。値段帯は普通。可もなく不可もなし。f:id:mnres:20220321021119j:plain

IL Piatto

浜岡に来て初めて訪れた店。きちんとしたイタリアンのお店はこの辺りにはあまり無い。こじんまりとした綺麗な店内で、ランチは1000円台。パスタとティラミスが美味しい。

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午後は近所の主婦の憩いの場に

Cook House 椿

バイパス沿いにあるが、中ではゆったりとした時間が流れているお店。夜は大人向けのライブハウスになるようで、広々とした店内にはいくつもの楽器が備え付けられている。日替わりランチ(1100円)は大盛無料だが、だからといって調子に乗らない方がいい。大盛の前に中盛という段階があることから察せるように、この店の大盛とは二人前のことである。店員さんはそのあたりの確認を一切行ってこないので初見でまんまと引っかかってしまった。 一回目は日替わりランチのハンバーグカレーを食べた。カレーはトマトの酸味が効いた粘度の低いバターチキンカレーでさらさらといけた。途中までは。ハンバーグは運の悪いことに密度の高い類のもので、満杯の腹が中々受け付けてくれなかった。大食い選手が使う様々な手法を用いて何とかすべて平らげることができた。食後にドリンクとちょっとしたデザートがつくのもありがたい。 二回目はオムライスを食べた。特筆すべき点が何もない、ごく普通の喫茶店のオムライスだった。

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絶望

他にも池宮神社や原発のふれあい館など徒歩・自転車圏内に面白い観光スポットがいくつもあるのでぜひ訪ねてもらえればと思います。