北海道に行って思ったこと(きた北海道フリーパス使用)
先日、某イケメン鉄オタYoutuber(以下R)と3泊4日で北海道を旅行してきました。その様子を紹介したいと思います。
今回はきた北海道フリーパスをいうものを使用しました。これは、ピーチ航空を利用した人のみ購入できる、北海道をざっくり縦に三等分した時に真ん中にある路線が特急含めて乗り放題というパスです。4日間有効でたったの1万円、往復の飛行機代を合わせても2万円ちょっとなので、破格の安さです。
1日目 占冠・旭川
07:25 日暮里からスカイライナーで成田空港へ。 11:30 新千歳空港 さみい。
12:15 快速エアポート113号 札幌行き 南千歳で乗り換え
12:26 特急スーパーおおぞら5号 釧路行き
13:28 トマム駅着
星野リゾートの最寄り駅というだけあって外国人観光客が多く下車していた。数キロ先に星野リゾートの高層ビルが見えるが、駅前には何もない。エセ東京人が地元を謙遜して言う「駅前に何もない」ではなく、本当に何もない。Googleマップで一番ズームしても何も表示されない。乗り継ぎで時間があるので駅前を少し散歩した。ひたすら長い道路と、積雪時に備えその境界を示す矢印が延々と続く。少し歩いて引き返した。北海道は広すぎる。
14:32 特急スーパーとかち8号 札幌行き
14:47 占冠駅着
一日平均乗降者数約20人の駅。村の中心から少し離れているので、トマムほどではないが駅前が寂しい。近くに物産館があったので、駅前にスーツケースを置いて行ってみることに。当然のように中にはほとんど人がいない。村の全盛期の写真や、小学校の廃校を記念したアルバムなどが展示されていて、進行する過疎の現状に心が重くなった。一方で、多少なりとも駅前に車が止まっていて、車通りもそこそこあるのを見ると、村そのものが緩やかに消滅しているという現状を現実として捉えられないのもまた事実だった。
15:12 占冠村営バス乗車
鉄道の不通区間があるため、代わりにバスで富良野へ向かう。
16:26 富良野駅着
んー、よく寝た。富良野ついたぞー。R「スーツケースは?」
スーツケース?スーツケース……アッ(全てを悟った人)占冠駅前に置いたままだ…
こうして、最低気温-12℃の駅前に一晩スーツケースを放置することになった。クマに食われてないといいなぁ。
憂鬱な気分のまま軽食をとる。
16:55 普通 旭川行き
18:20 旭川駅着
法外なほどに広い歩道、目線の先にそびえ立つクリスマスツリー、そしてそれらを彩る雪。なのに心がどこか寂しいのは、寒さのせいだろうか。冬用のガチタイツを装備したjkがいる一方、しっかりと生足を露出しているjkもいて、頼もしくなった。旭川の未来はあなたにかかっています。
それにしても、街のスケールがデカすぎて、一区画移動するだけで疲れる。東京のやや窮屈な感じも案外悪くないと思った。
駅から徒歩5分くらいのバーに入店。バーといっても気軽に入れるような喫茶店テイストの店だ。そこでスープカレーに舌鼓を打った。冷えた身体にスパイスの効いたカレーが染み渡る。ママが気さくな人でお菓子をくれた。
20:06 特急サロベツ3号 稚内行き
永遠に着かない。英語の参考書を読んだり、歴史の参考書を読んだり、村上春樹の紀行文を読んだり、恋愛ゲームをプレイしたり、喋ったり、お菓子を食べたり、車内を散策したり、ツイッターをしたり、寝たり、起きたりしてもまだ着かない。外が真っ暗すぎて本当に前に進んでいるのかどうかもわからない。乗客も次第に少なくなっていゆく。鉄道旅行中に、こういう将来への漠然とした不安にも似た感覚を覚えることってありませんか?
「この先、エゾシカなどの野生動物が多数出没する区間を走行いたします。…」こんなアナウンスが流れてくる。無事にたどり着けるのか…?
23:59 稚内駅着 逆浦島太郎の気分を味わいながら到着。全ホテルに大浴場があることで有名なドーミーインに泊まることになっていたので、荷物を置きに行く。
1:00 まだまだ1日目は終わらない。休憩もそこそこに深夜の稚内へ繰り出す。港へ行くと、神殿のような建造物に出くわした。深夜1時、誰もいない港で不気味なほど明るく照らされた巨大な構造物を発見した時の衝撃たるや。調べてみるとどうやら防波ドームらしい。なぜかwifi使えますのステッカーが貼ってあった。上に登って冬の日本海の波音に耳を澄ました。こういう出会いがあるから散歩っていいですよね。 2:00 風呂入って寝た。
2日目 宗谷・夕張・札幌
8:30 おはよう。稚内駅を少し散策。
9:39 宗谷バス乗車
10:29 宗谷岬バス停着
宗谷岬はわざわざ冬に行くような場所じゃない。風速20メートルをゆうに超える風がコンスタントに吹き付けてくるので、体感温度がだだ下がりする。写真を撮影するためにスマホを取り出した瞬間ふっ飛ばされたほどだ。もっとも、そのおかげで風力発電用の風車はぐるんぐるん回っていたが…
恐るべき自然の中で僕は自分の無力さを知った。What can I do in 稚内?
例のアレはバス停のすぐ側にあった。冬だけあって流石に閑散としていたが、それでも写真撮影の為の列が作られていた。富士山に登った時、剣ヶ峰でも同じようなことがあったのを思い出した。高台に登ってみると、大韓航空機撃墜事件や、太平洋戦争中の戦没者の慰霊碑がいくつか建っており、国境付近の街ならではの苦悩を感じさせられた。
全体的にこじんまりとした観光地だった。見て回るには2時間もあれば十分だろう。
12:08 稚内駅
生魚が苦手なのに海鮮丼を頼むという失態を犯す。
13:01 特急サロベツ4号 旭川行き
永遠に着かない(2回目)。昨日と違って景色が見えるのでまだマシだが、ひたすら北国の大地を駆け抜けているので、代わり映えがしない。音威子府という駅で別れ、僕はそのまま乗車してスーツケースを回収することにした。
17:00 特急ライラック36号 札幌行き
18:32 特急スーパーとかち7号 帯広行き
19:44 新夕張駅着
駅員さんから無事スーツケースを受け取る。昨夜保線作業員の方がスーツケースを発見して、管轄駅の新夕張まで輸送してくれたとのことだった。1時間ほど電車を待たなくてはいけなかったので散歩をすることにした。
駅舎を出ると当然のように誰もいない。北国の雪深いローカル駅周辺を一人でぶらつくというこの上ない非日常的な状況に、えもいわれぬ興奮を覚えていた。ここまで来ると恐れるべきは不審者よりも野生動物の襲来である。熊がうろついていることを気に留め(bear in mind)なくてはならない。
どうも北海道の街灯は東京のそれより明るい気がする。街自体が暗いから相対的に明るく感じるだけなのだろうか、それとも雪が光を反射するからだろうか。人がいないことも相俟って、一層不気味さが増していた。
話がそれるが、静かさには2種類あると思う。開放的なものと、閉鎖的なものだ。前者は誰もいない野原や深い森の中で、後者は無音室や自室で感じるものだ。開放的な静かさの中では、より静かな場所へ行きたいと思うことがしばしばあるし、閉鎖的な静かさの中では、不自然なまでの無音状態に不安を掻き立てられることが同様にしてある。雪の降り積もった大地は、その両方の良いところを兼ね備えているように感じる。ゲレンデでふと腰を下ろした時に感じる、あの独特の静かさだ。雪が音を吸収する一方で、上には開放的な空が広がっているからだろうか。しんと静まり返っているのに、何故か心細さを感じない。ふと足を止めると、心地よい静かさが全身を包み込む。人通りも車通りも数える程しかない中、空から降りつづける雪だけが、時間がちゃんと進んでいることを教えてくれる。
…そんなことを考えながら歩いていた。
21:05 特急スーパーとかち10号 札幌行き
22:15 札幌駅着
チュウニズムをしてしまう。(懺悔)
23:30 ホテル着
今日から2泊するJRイン札幌駅南口へ向かう。部屋に入った途端新築の家の香りがして、勝利を確信した。
1:00 ジンギスカン
少々ガラの悪いすすきのの路地にある成吉思汗だるま本店に入店。札幌では有名なジンギスカンのお店らしい。この時間でも席は半分ほど埋まっていた。クセのない美味しい肉でした。
3:00 就寝
3日目 札幌・留萌
半日も札幌にいれば、街の雰囲気に慣れてしまう。「北1西2」といった住所の表記法を使いこなして移動できるようになるし、「札幌は内陸よりあったかいなあ。-1℃もあるのか」といった感想も自然に出てくるようになる。それでも、札幌の広さには少々辟易する。街が碁盤の目のように整備されているのだが、その1区画が約150m四方となっている。札幌にはこれが数千ブロックある。これでスケールの大きさがわかってもらえただろうか。だから、例えばたったの3ブロック先といっても、何だかんだで500mは歩かされるわけだ。さらに、地下鉄は大江戸線よりも深いんじゃないかと思うほど地下深くを走っているから、乗るだけでも面倒で、短区間では利用する気が起きない。ちょっと出歩く程度なら、歩いた方が早いということになる。それでも、その分街並みがゆったりしていて、早歩きにはもってこいの場所だから、僕的には好きな街だ。
ジンギスカンを食べた後地下道を通ってホテルまで戻ったが、金曜の夜ということもあってか、人々がポケットに手を突っ込んで俯きながら家路を急ぐといった雪国特有の陰鬱さ(偏見)のようなものはなく、皆楽しそうに話しながら歩いていた。(もっとも、東京人よりはずっと歩くのが速かったが。札幌に移住すれば快適に生活できそうだ)ここに住むと毎日結構な距離を歩かざるを得ないから足腰が強くなりそうだなと思った。ちなみに漏れ聞こえてきた会話によれば、地元民は札幌駅を札駅(さつえき)と略すらしい。
10:00 起床後時計台とテレビ塔へ
ガッカリスポットとして有名な時計台だが、一度は行ってみてもいいんじゃないかと思う。北海道の開拓の歴史が大雑把に掴める。
高校生以下は入場無料となっていたので、受付で学生証を見せたのだが、受付の人に割と大きめな声で「東京の○×高校ですね」と確認され(これ声に出していう必要ある?)、周りの人の注目を浴びてしまった。でも親子連れが「すごく頭のいいところなんだよ」と話していたので、OKです(照)
余談だが、この時計台の鐘は毎正時に、例え夜間であっても時を告げてくれる。昨日ホテルへ向かう際に、深夜2時の誰もいない札幌に響き渡る2回の鐘の音を聞くことができたのは貴重な体験だった。
12:00 味噌ラーメン@味の三平
うまかった。でもやっぱり小学校の給食で出た味噌ラーメンが一番。
羊ケ丘展望台 Boys,be ambitious!
白い恋人パーク
もはや札幌観光の定番となりつつある、白い恋人でお馴染みの石屋製菓が運営するテーマパーク。ディ○ニーランドと見紛うような建物に加え、工場見学ができたり、鉄道まで敷いてあったりと、もうやりたい放題である。もちろん、工場見学には入場料がかかる。非上場なのでIRは閲覧できなかったが、地方の一製菓会社がここまで儲けられるものなのだろうか?
札幌を一通り満喫した後は、廃止が取り沙汰されている留萌本線を利用するため深川へ向かう。
17:00 特急カムイ31号 旭川行き 深川で乗り換え
18:15 留萌本線 普通留萌行き
19:09 留萌着
街灯がひときわ明るく感じる街だった。当然のように誰も外を出歩いていない。わずかに残る足跡も降ってくる雪に埋もれようとしていた。積雪20cmぐらいの誰もいない公園を歩き回って、新雪の感触を楽しんだ。
20:20 留萌本線 普通深川行き
途中まで乗客は僕たちだけだった。これではJRが廃止したがるのもやむを得ないと感じた。「鉄道でないといけない理由」がなければ、人口希薄地帯の鉄道を維持する動機はないだろう。
21:37 特急オホーツク4号 札幌行き
オホーツクのグリーン車は日本で一番らしい。
22:53 札幌着
SAPPORO餃子製造所でザンギと餃子をいただく。ザンギとは味のついた唐揚げ?のようなものらしい。甘じょっぱいタレが美味しかった。餃子は大ぶりで、ラーメン屋の餃子のような出来合いの餡ではなく、肉の分量の多いジューシーな餡で、これまた美味しかった。
4日目 札沼線
札沼線の北海道医療大学駅〜新十津川駅間はすでに廃止が決まっており、2020年5月6日を以って定期列車の運行が終了する。ということで今回利用することになった。
7:45 札沼線普通 新十津川行き
爆睡。鉄道ファンが多く乗っていた。
9:28 新十津川着
首都圏に住んでいる僕からすれば想像もつかないことだが、一つの路線が廃止になるというのは大変なことだ。廃止が決まった路線に人々が集まるのもわかる気がする。初めてこの地を訪れた僕でさえ、何となく惜別の情を抱いてしまったから。
11:02 滝川 特急ライラック18号 札幌行き
12:05 快速エアポート120号 新千歳空港駅行き
帰宅
全体
12月の北海道はまだ寒さも厳しくなく、観光客も少ないということで、冬の北海道を気軽に楽しみたいという人にとってはいい時期だと思う。厳しさを見せる前の冷たくも優しい自然があなたを包み込み、視野を広げてくれること請け合いだ。
元々R一人で行く予定だった旅行に連れて行ってくれたことや、北海道を訪れるまで名前すら知らなかった、廃線の危機に直面している路線を利用するという貴重な体験をさせてくれたことには本当に感謝したいところだったが、こいつが時間ギリギリに行動するせいで何度もランニングをする羽目になったので、相殺して0になった。